プラークがあると言われたら?健診で指摘されたときの原因と改善方法を医師が解説

頸動脈プラークがあると言われたときの原因と改善方法

健診で「頸動脈プラーク」を指摘され、将来への不安を感じていませんか?この油のような塊は、首の血管にコレステロールなどがたまってできるもので、将来的に脳梗塞や心筋梗塞といった重い病気のリスクを高める可能性があるとされています。動脈硬化性の病気は日本の主要な死亡原因の一つであり、健康寿命と平均寿命の間に大きな差を生む原因ともなります。

この記事では、頸動脈プラークの正体や、健診で見つかる理由、進行を防ぐための原因と具体的な改善策までを医師が詳しく解説します。

読み進めることで、ご自身の血管の状態を正しく理解し、将来の重い病気を防ぎ、健康で活動的な日々を送るための具体的な対策を講じられるでしょう。

目次

頸動脈プラークとは?動脈硬化との深い関係性

頸動脈プラークとは、首の血管(頸動脈)の壁に、コレステロールなどがたまってできる油のような塊です。このプラークは、血管の老化現象である動脈硬化の一種で、将来的に脳梗塞や心筋梗塞といった重い病気のリスクを高める可能性があります。健診で指摘された場合は、見過ごさずに対処することが重要です。

頸動脈プラークの正体と将来のリスク

頸動脈プラークは、血管の内側の壁にコレステロールや脂質、細胞の老廃物などが少しずつこびりつき、盛り上がってできた病変です。プラークが大きくなると、血管の内腔を狭くし、脳へ送られる血液の流れが悪くなる原因となります。さらに危険なのは、プラークの表面がもろくなって一部が剥がれ落ち、その塊が血流に乗って脳の細い血管に詰まってしまうことです。これが「脳梗塞」の主な原因の一つであり、突然の麻痺や意識障害といった深刻な症状を引き起こし、命に関わる事態につながるおそれがあります。

脳梗塞や心筋梗塞といった動脈硬化性の病気は、日本における主要な死亡原因の一つです。これらの病気は、私たちが元気に活動できる「健康寿命」と、全体の人生の期間である「平均寿命」との間に大きな差が生じる原因ともなっています 。そのため、頸動脈プラークが見つかった場合は、将来の重大な病気を防ぐために、早めの対策が非常に大切になります。

動脈硬化との違いと診断基準

頸動脈プラークは、動脈硬化の中でも特に「アテローム動脈硬化」と呼ばれる状態の具体的な現れです。動脈硬化とは、血管が加齢や生活習慣病の影響で弾力性を失い硬くなったり、血管の内壁にコレステロールなどがたまって厚くなったりする、血管の老化現象全般を指します。一方プラークは、この動脈硬化によって血管の内側に脂肪の塊(アテローム)がこびりつき、血管が狭くなる局所的な病変を指します。

動脈硬化の診断や進行度を知る方法はいくつかありますが、頸動脈プラークの有無や状態を詳しく調べることは、全身の動脈硬化の状態を把握する上で非常に重要な手がかりとなります。特に「頸動脈超音波検査(頸動脈エコー)」は、首の表面に超音波を当てるだけで、痛みなく、手軽に頸動脈のプラークを詳細に評価できる検査です。この検査では、プラークの有無だけでなく、その大きさや厚さ、さらに性状(安定しているか、剥がれやすい不安定な状態かなど)まで詳しく確認できます。2022年版の動脈硬化性疾患予防ガイドラインでも、将来の病気につながる「隠れた動脈硬化(潜在性動脈硬化)」を評価する有効な手段として、頸動脈超音波検査が注目されています 。健診などでプラークを指摘された場合は、この頸動脈エコーで詳しく検査することが推奨されます。

頸動脈エコー検査でわかる3つのこと

頸動脈エコー検査は、首の血管の状態を痛みなく詳細に把握できる検査です。この検査によって、将来の脳梗塞や心筋梗塞といった重大な病気につながる可能性のある動脈硬化の進行度合い、特に血管の壁にできる「プラーク」の有無やその具体的な状態がわかります。

痛くないエコー検査の目的とメリット

頸動脈エコー検査は、体への負担が少なく、動脈硬化の早期発見に役立つ重要な検査です。この検査の主な目的は、自覚症状がないまま進行しがちな動脈硬化の状況を正確に把握し、将来の脳梗塞や心筋梗塞のリスクを評価することにあります。

首の表面から超音波を当てるだけで、痛みを伴わない検査です。脳に血液を送る大切な血管である頸動脈の状態をリアルタイムで直接確認できるため、次のようなメリットがあります。

  • 放射線被ばくの心配がない: 妊娠中の方や小さなお子さんも安心して検査を受けられます。
  • 繰り返し検査が可能: 治療の効果や病状の進行を定期的に確認する際にも有用です。
  • 潜在性動脈硬化の早期発見: 健診などで異常を指摘された場合でも、この検査を通じて血管の状態を詳しく把握し、まだ症状が出ていない「隠れた動脈硬化(潜在性動脈硬化)」を見つけ出すことができるため、早めに対策を講じることにつながります。

動脈硬化性疾患は、元気でいられる「健康寿命」と、全体の人生の期間である「平均寿命」との間に差が生まれる主要な原因の一つです。2022年版の動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは、これらの疾患の予防が喫緊の課題とされています。頸動脈エコー検査は、この健康寿命を延ばすための第一歩として、非常に価値のある検査といえます。

プラークの大きさや状態からわかること

頸動脈エコー検査では、血管の壁にできたプラークについて、単に「あるかないか」だけでなく、その具体的な性質まで詳しく評価できます。これにより、動脈硬化の進行度や将来のリスクをより正確に判断することが可能です。

主にわかることは、次のとおりです。

  • プラークの大きさ(狭窄度): プラークが血管の内側をどれくらい狭くしているかを示します。狭窄度が高いほど、脳へ送られる血流が滞りやすく、脳梗塞のリスクが高まる可能性があります。
  • プラークの性状(安定性): プラークが安定しているか、それとも「不安定」な状態かを確認します。不安定なプラークとは、表面がもろく、一部が剥がれ落ちやすい性質を持つものです。もし剥がれ落ちると、その塊が血流に乗って脳の細い血管に詰まり、「アテローム血栓性脳梗塞」を引き起こす危険性があります。
  • プラークの石灰化の有無: プラークの中にカルシウムが沈着して硬くなっている状態です。石灰化の有無や程度も、プラークの安定性や病状の進行度を判断する上で重要な情報となります。

2022年版動脈硬化性疾患予防ガイドラインでも、潜在性動脈硬化の評価項目として頸動脈超音波検査が挙げられており、プラークの有無や状態を把握することは、動脈硬化性疾患、特にアテローム血栓性脳梗塞のリスク管理において極めて重要と考えられています。

これらの詳しい情報をもとに、医師は患者さん一人ひとりの動脈硬化の進行度を総合的に判断し、適切な治療方針や具体的な生活習慣の改善策についてアドバイスいたします。

頸動脈エコー検査のまとめ

頸動脈エコー検査は、痛みなく頸動脈のプラークの状態を詳細に把握できるため、自覚症状の少ない動脈硬化の早期発見や、将来の脳梗塞・心筋梗塞のリスク評価に役立つ有効な検査です。プラークの大きさや安定性などを知ることで、一人ひとりに合わせた予防・治療計画を立てる大切な手がかりとなります。

頸動脈プラークができる3つの原因

頸動脈プラークは、生活習慣病、不適切な食生活、運動不足、喫煙習慣といった要因が複雑に絡み合って形成されます。これらの原因を深く理解することは、プラークの発生を抑え、血管の健康を保つ上で重要です。

生活習慣病:高血圧・脂質異常症・糖尿病

高血圧、脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病は、血管に継続的なダメージを与え、頸動脈プラークの形成を促進します。これらの病気は、それぞれ異なるメカニズムで血管に負担をかけ、動脈硬化を進行させてしまうと考えられます。

高血圧がプラークを招く仕組み

血液の圧力が常に高い状態が続くと、血管の壁には常に強い力がかかります。これにより、血管の内側が傷つきやすくなり、その傷ついた部分にコレステロールなどの物質が入り込みやすくなります。結果として、プラークが発生しやすくなると考えられています。

脂質異常症がプラークを招く仕組み

血液中の「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールが過剰になると、血管の壁に蓄積しやすくなります。この蓄積こそがプラークの主な成分となり、血管を狭くしたり、硬くしたりする原因です。

2022年版動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは、特に糖尿病があり、さらに末梢動脈疾患や細小血管症(網膜症、腎症、神経障害など)を合併している、あるいは喫煙習慣がある患者さんの場合、LDLコレステロールの管理目標値が100 mg/dL未満と、より厳しく設定されています。これは、これらのリスクが重なることでプラーク形成や進行のリスクがさらに高まるためです。

また、採血時に空腹でなくても測れる随時トリグリセライド(中性脂肪)が175 mg/dL以上であることも、動脈硬化のリスク因子として注目されています。脂質異常症の予防や治療では、コレステロールだけでなく、中性脂肪の値にも気を配ることが大切です。

糖尿病がプラークを招く仕組み

高血糖の状態が長く続くと、全身の血管に炎症や損傷が引き起こされます。これにより血管のしなやかさが失われ、プラークができやすい環境が作られてしまいます。血糖値が高い状態が続くことは、血管にとって大きな負担となるのです。

高血圧、脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病は、それぞれがプラーク形成のリスクを高めるだけでなく、互いに悪影響を及ぼし合い、動脈硬化をさらに進行させる原因となります。

食生活や運動不足、喫煙習慣

日々の食生活の乱れ、運動不足、そして喫煙習慣は、生活習慣病を引き起こすだけでなく、直接的に血管へ悪影響を与え、プラーク形成の大きな要因です。

食生活の乱れと血管への影響

飽和脂肪酸(肉の脂身や乳製品など)やトランス脂肪酸(マーガリン、加工食品など)の摂りすぎは、悪玉コレステロールを増やし、血管に負担をかけます。また、清涼飲料水や菓子類などに多く含まれる果糖の摂りすぎは、血糖値を急激に上昇させ、血管にダメージを与える原因となる場合があります。

一方、血管の健康を保ち、動脈硬化の予防に役立つ食生活として、動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは以下の点が推奨されています。

  • 魚に含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸の積極的な摂取
  • 野菜やきのこ類に豊富な食物繊維の摂取
  • 栄養バランスの取れた日本食パターン

これらの食事は、健康な血管を維持するために大切です。

運動不足が血管にもたらす悪影響

運動不足は肥満の原因になるだけでなく、血行を悪くし、血糖値や脂質代謝にも悪影響を与えます。定期的な運動を取り入れることは、動脈硬化の予防に推奨されています。

具体的な運動習慣の例は以下のとおりです。

  • ウォーキングなどの有酸素運動
  • 筋力トレーニング(レジスタンス運動)
  • 長時間座り続ける時間の削減

日々の生活に運動を取り入れることは、血管の健康維持に欠かせない要素といえます。

喫煙習慣がプラーク形成を加速させる理由

タバコに含まれる有害物質は、血管の内壁を直接傷つけ、炎症を引き起こします。これにより、プラークが非常にできやすくなるだけでなく、一度できたプラークがもろく不安定な状態になりやすくなります。喫煙は、動脈硬化性疾患のリスクを大幅に高める重要な要因の一つです。そのため、禁煙はプラークの進行を防ぐ上で大変大切だと考えられています。

これらの生活習慣は、日々の意識と選択によって改善できるものです。一つ一つの小さな積み重ねが、将来の血管の健康を守ることにつながります。

頸動脈プラークの進行を防ぐ5つの治療・改善策

頸動脈プラークが見つかったら、その進行を食い止めることが何よりも大切です。日々の生活習慣を見直し、必要に応じて適切な治療を組み合わせることで、将来の脳梗塞や心筋梗塞といった重い病気のリスクを減らすことができます。動脈硬化性疾患の予防は、健康で活動的な時間を長く保つ「健康寿命」を延ばす上での重要な課題です。生活習慣の改善こそが、その基本となります。

食生活の見直しで血管を健康に

食生活の見直しは、血管の健康を保ち、頸動脈プラークの進行を遅らせるために不可欠な要素です。日々の食事を見直すことで、動脈硬化を悪化させる要因を減らし、血管への負担を軽減できます。

特に注意したいのは、以下の食品です。

  • 飽和脂肪酸:肉の脂身やバター、生クリームなどに多く含まれ、過剰摂取は悪玉コレステロール(LDL-C)を増加させる原因となります。
  • トランス脂肪酸:マーガリンやショートニング、それらを使ったパンやお菓子などに含まれ、LDL-Cを増やし、動脈硬化のリスクを高める可能性があります。
  • 果糖を多く含む加工食品:清涼飲料水や菓子類に多い果糖は、血糖値を急激に上げ、血管に炎症を引き起こす場合があります。

これらの食品を控えることは、プラークの形成を抑えるために重要です。動脈硬化性疾患予防ガイドラインでも、これらの制限が推奨されています。

一方で、積極的に取り入れたい食品は次のとおりです。

  • n-3系多価不飽和脂肪酸:青魚(サバ、イワシ、アジなど)に豊富で、血液をサラサラにし、動脈硬化の予防に役立つといえます。
  • 食物繊維:野菜、きのこ類、海藻、果物、穀類などに多く含まれ、コレステロールの吸収を穏やかにし、便として排出を促す働きがあります。
  • 日本食パターン:伝統的な和食は、魚介類、野菜、豆類を中心としたバランスの良い食事が特徴で、全体的に健康的な食生活の良い手本となります。

特に、健康診断で中性脂肪(トリグリセライド)の値が175 mg/dL以上と指摘された方は、食生活の改善が急務と考えられます。これは、非空腹時でもこの値を超えると動脈硬化のリスクが高まるとされているためです。規則正しく、栄養バランスの取れた食事を心がけることが、強くしなやかな血管を保つ第一歩となります。

加工食品や動物性脂肪を控え、魚介類や野菜を積極的に摂る和食中心の食生活は、頸動脈プラークの進行を抑え、血管の健康を守る上で大切です。中性脂肪の値にも注意し、必要であれば専門家に相談しましょう。

定期的な運動習慣と禁煙の重要性

定期的な運動習慣と禁煙は、頸動脈プラークの進行を防ぐ上で極めて重要な生活習慣の改善策です。これらは血管の健康を直接的に改善し、動脈硬化のリスクを低下させる効果が期待できます。

運動は、血行を促進し、体内の脂質バランスを整える働きがあります。具体的には、悪玉コレステロール(LDL-C)や中性脂肪を減らし、善玉コレステロール(HDL-C)を増やすことが可能です。さらに、血圧や血糖値の改善にもつながるため、全身の動脈硬化リスクを総合的に下げると考えられます。 動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは、以下の運動が推奨されています。

  • 有酸素運動:ウォーキング、ジョギング、水泳など、心拍数が少し上がる程度の運動を毎日30分以上、週に3日以上行うことを目指します。これは、酸素を使って脂肪を燃焼させることで、心肺機能を高め、血管の柔軟性を保つことに役立ちます。
  • レジスタンス運動(筋力トレーニング):軽い負荷で行う筋力トレーニングも効果的です。筋肉を維持・増強することで基礎代謝が上がり、血糖値の管理にも良い影響を与えます。
  • 座位時間の削減:長時間座りっぱなしになることを避け、例えば1時間に一度は立ち上がって軽くストレッチをするなど、こまめに体を動かす工夫も血管の健康には重要です。

一方、喫煙は動脈硬化を急速に進行させる最大の危険因子の一つです。たばこに含まれるニコチンやタールなどの有害物質は、血管の内壁を直接傷つけ、炎症を引き起こします。これにより、プラークが形成されやすくなるだけでなく、一度できたプラークがもろく不安定な状態になりやすくなるといえます。この不安定なプラークは剥がれ落ちやすく、脳梗塞や心筋梗塞の原因となるため、禁煙は動脈硬化の進行を止める上で最も効果的な対策の一つと考えられています。 医師や薬剤師、禁煙外来など、専門家のサポートも活用しながら、禁煙に取り組むことを強くおすすめします。

定期的な有酸素運動や筋力トレーニングは血管の健康を保ち、喫煙は血管を傷つけプラーク形成を促進します。禁煙は、血管を守る上で何よりも大切な選択肢であり、専門家のサポートを受けながら取り組むことが効果的です。

高血圧・糖尿病など基礎疾患の適切な管理

高血圧や糖尿病、脂質異常症といった基礎疾患を適切に管理することは、頸動脈プラークの悪化を防ぎ、将来の心筋梗塞や脳梗塞といった重篤な病気のリスクを軽減するために欠かせません。これらの病気は、それぞれ異なるメカニズムで血管に慢性的な負担をかけ、動脈硬化の進行を加速させてしまうためです。

特に重要なのは、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の厳格な管理です。動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは、患者さんの状態に応じてLDLコレステロールの目標値がより細かく設定されています

あなたのLDLコレステロールの目標値は、以下の表で確認できます。

状態LDLコレステロール目標値
糖尿病を合併し、
・末梢動脈疾患
・腎症
・神経障害(細小血管症)
いずれかの合併がある、または喫煙習慣がある場合
100 mg/dL未満
冠動脈疾患やアテローム血栓性脳梗塞の二次予防の場合100 mg/dL未満
以下いずれかの条件に当てはまる場合
・急性冠症候群
・家族性高コレステロール血症
・糖尿病
・冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞の両方を合併
70 mg/dL未満

これらの基準は、動脈硬化の進行リスクが高い患者さんほど、より厳しくコレステロール値を管理することが重要であるという考えに基づいています。医師の指示に従い、定期的な通院と服薬を継続し、血圧、血糖値、コレステロール値を目標範囲内に保つように努めましょう。

治療薬としては、主にスタチン(コレステロール合成を抑える薬)が第一選択薬となります。冠動脈疾患の二次予防においては、発症早期から最大耐用量のスタチンを服用することが推奨されています。 もしスタチンだけで目標値に達しない場合は、エゼチミブやPCSK9阻害薬など、異なる作用機序を持つ非スタチン系薬剤が併用されることもあります。また、高トリグリセライド血症(中性脂肪が高い状態)を合併している高リスク患者さんの場合、イコサペント酸エチル(EPA製剤)の併用が、心血管イベントの抑制に効果を示す可能性があるとされています。 自己判断で薬の服用を中止したり、量を変更したりすると、病状が悪化する可能性があります。常に主治医と相談しながら治療を進めることが大切です。

高血圧、糖尿病、脂質異常症の適切な管理は、頸動脈プラークの進行を止め、脳梗塞や心筋梗塞を防ぐために不可欠です。特にLDLコレステロールの目標値は状態によって厳しく設定されるため、医師と連携し、服薬を中断せずにコントロールを続けることが重要といえます。

プラーク指摘後の生活と受診で大切なこと

健診で頸動脈プラークが見つかった場合、将来の脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まっているサインです。しかし、この指摘は、重篤な病気を未然に防ぐための大切な「警告」と捉えられます。適切な医療機関で専門的なアドバイスを受け、生活習慣を見直すことで、プラークの進行を抑え、元気で活動的な時間(健康寿命)を延ばせる可能性があります。不安を抱え込まず、この機会に自分の体と真剣に向き合い、積極的に改善へ取り組むことが重要です。

健診後の受診先:内科への相談が重要

頸動脈プラークを指摘されたら、まずはかかりつけ医や内科、特に動脈硬化の専門知識を持つ循環器内科や、生活習慣病の管理も行う内科・消化器内科を標榜するクリニックへの相談が大切です。動脈硬化は、首の血管だけでなく全身の血管に影響を及ぼす問題であり、高血圧・脂質異常症・糖尿病といった生活習慣病が深く関与しているためです。

症状がないからと放置せず、できるだけ早めに受診し、医師とともに病状を理解し、改善へ向けて行動を始めることが肝心です。

日常生活で注意したい3つのポイント

頸動脈プラークの進行を防ぐためには、日々の生活習慣を意識的に見直すことが非常に重要です。動脈硬化性疾患予防ガイドラインでも、生活習慣の改善が動脈硬化性疾患予防の基本とされています。特に以下の3つのポイントに注目し、具体的な行動へつなげましょう。

  1. 血管をいたわる食生活へ見直す
    飽和脂肪酸(肉の脂身や乳製品など)、トランス脂肪酸(マーガリンや加工食品)、果糖を多く含む加工食品の摂取は控えましょう。これらは悪玉コレステロールを増やし、血管に炎症を引き起こす場合があります。代わりに、青魚に豊富なn-3系多価不飽和脂肪酸、野菜やきのこ類に多い食物繊維、そして日本の伝統的な和食を中心としたバランスの取れた食生活を心がけることが、血管の健康維持に役立ちます。
  2. 定期的な運動習慣と禁煙を徹底する
    運動は血行を促進し、血圧や血糖値、脂質バランスの改善に役立ちます。ウォーキングなどの有酸素運動を週に3日以上、筋力トレーニング(レジスタンス運動)も取り入れましょう。また、長時間座り続ける時間を減らす工夫も大切です。さらに、喫煙は血管の内壁を傷つけ、プラークの形成を加速させる最大の危険因子です。禁煙は、プラークの進行を抑える上で最も効果的な対策といえます。専門機関のサポートも活用しながら、禁煙に取り組みましょう。
  3. 基礎疾患の適切な管理を続ける
    高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病は、プラークの進行を加速させます。これらの疾患を指摘されている場合は、医師の指示に従い、薬を毎日きちんと服用し、定期的な検査で血圧、血糖値、コレステロール値を目標範囲内に保つことが非常に重要です。特に糖尿病の患者さんや、冠動脈疾患・アテローム血栓性脳梗塞を経験された方は、LDLコレステロールの管理目標値が厳しく設定されています。自己判断で服薬を中断せず、主治医と連携しながら治療を続けることが、将来の重大な病気を防ぐ鍵となります。

これらの生活習慣の改善は、プラークの悪化を食い止めるだけでなく、将来の脳梗塞や心筋梗塞といった重篤な病気を予防することにもつながります。できることから少しずつ始めて、健康な体を維持していきましょう。

まとめ

健診で頸動脈プラークが見つかったら、それは将来の脳梗塞や心筋梗塞といった重大な病気を未然に防ぐための大切なサインです。早めに適切な対策を講じましょう。 頸動脈プラークは、首の血管にコレステロールなどが蓄積したもので、動脈硬化の進行によりリスクを高める可能性があります。頸動脈エコー検査でプラークの状態を詳しく把握し、原因となる生活習慣病の管理、食生活の見直し、運動習慣、禁煙といった対策を継続することで、その進行を遅らせることが期待できます。 不安を感じる場合は一人で抱え込まず、内科やかかりつけ医など、専門家へ相談し、ご自身の状態に合わせた予防と治療を進めることが大切です。健康な体を保つために、できることから少しずつ始めてみませんか。

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頸動脈プラークは、動脈硬化のサインのひとつであり、脂質異常症や糖尿病、高血圧などの生活習慣病と深く関係しています。特にコレステロールや血糖値に異常を指摘された方は、あわせて確認しておきましょう。

この記事は医師の監修のもと作成しています。

監修 和田 蔵人(医師)

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参考文献

  • 2022年版 動脈硬化性疾患予防ガイドライン

追加情報

タイトル: 2022年版 動脈硬化性疾患予防ガイドライン 著者: 日本動脈硬化学会

概要:

  • 急性心筋梗塞、狭心症などの冠動脈疾患や脳卒中などの動脈硬化性疾患は、日本の主要な死亡原因であり、健康寿命と平均寿命の乖離の大きな原因となっている。
  • 2018年に成立した「脳卒中・循環器病対策基本法」および2020年に閣議決定された「循環器病対策推進基本計画」に基づき、動脈硬化性疾患の予防が喫緊の課題とされている。
  • 本ガイドラインは、1997年以来5年ごとに改定を重ね、最新のエビデンスを取り入れ、動脈硬化のリスクを包括的に管理することで、健康寿命の延伸を目指す。
  • 2022年版では、これまでの冠動脈疾患予防に加え、アテローム血栓性脳梗塞の予防にも焦点を当て、動脈硬化のリスクをより包括的に管理することを目的としている。
  • ガイドライン作成にあたっては、エビデンスに基づいた文献のシステマティック・レビュー(SR)とクリニカル・クエスチョン(CQ)設定、エビデンスレベルと推奨レベル(A: 推奨する、B: 提案する、コンセンサス)の明確化、および修正Delphi法による推奨決定が行われた。

要点:

  • 脂質管理目標の変更: 随時(非空腹時)トリグリセライド(TG)の基準値を175 mg/dL以上に設定。
  • 絶対リスク評価の導入: 冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞を合わせた動脈硬化性疾患をエンドポイントとした久山町研究のスコアが、脂質管理目標値設定のための絶対リスク評価手法として採用された。
  • 糖尿病患者のLDL-C管理厳格化:
    • 末梢動脈疾患、細小血管症(網膜症、腎症、神経障害)合併時、または喫煙ありの糖尿病患者の場合、LDLコレステロール(LDL-C)の管理目標値を100 mg/dL未満とした。
    • これらを伴わない場合は従前通り120 mg/dL未満とした。
  • 二次予防の対象拡大と目標値厳格化:
    • 二次予防の対象に冠動脈疾患に加えてアテローム血栓性脳梗塞を追加。LDL-C管理目標値は100 mg/dL未満。
    • さらに、「急性冠症候群」、「家族性高コレステロール血症」、「糖尿病」、「冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞の合併」のいずれかの場合、LDL-C管理目標値を70 mg/dL未満と、より厳格な管理を推奨。
  • 生活習慣改善の重視: 禁煙、適切な食事療法(飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、果糖含有加工食品の制限、n-3系多価不飽和脂肪酸、食物繊維、日本食パターンの摂取推奨)、定期的な運動(有酸素運動、レジスタンス運動の提案、座位時間の削減)を、動脈硬化性疾患予防の基本として推奨。
  • 薬物療法の第一選択と併用:
    • 冠動脈疾患の二次予防においては、発症早期より最大耐用量のストロングスタチンを第一選択とする薬物療法を推奨。
    • スタチンに加えてエゼチミブやPCSK9阻害薬などの非スタチン系薬の併用によるLDL-C低下療法も、管理目標値達成のために推奨される。
    • 高トリグリセライド血症を合併する高リスク患者では、イコサペント酸エチル併用によるイベント抑制効果が認められる。
  • 新たな掲載項目: 脂質異常症の検査、潜在性動脈硬化(頸動脈超音波検査、脈波伝播速度、CAVIなど)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、健康行動理論に基づく保健指導、慢性腎臓病(CKD)のリスク管理、続発性脂質異常症に関する最新知見が追加された。
  • 今後の展望: 日本国民から層化無作為抽出された集団を用いた絶対リスク評価モデルの構築や、生涯リスクのスコア化が今後の検討課題である。
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